歯科用ジルコニアの理工学的性質
歯科医療ではいま、新材料としてジルコニアが注目されています。
ジルコニアは、温度を上げるに従い、単斜晶系、正方晶、立方晶と結晶の構造を変化させていきます。
この相転移で、ジルコニアは体積が収縮しますが、酸化アルミニウムを加えることで、温度上昇による結晶構造の破壊を抑えることができます。
また、酸化アルミニウムの他に酸化イットリウムが添加されていますが、酸化イットリウムは、歯科材料に必要な透過性を向上させる為に添加されています。
ここでは、歯科用ジルコニアの材料とその性質について紹介します。


ジルコニアが歯科材料として使える理由
以前書いた記事でも紹介していますが、
アレルギーの心配のない白い歯、ジルコニア。美容、整形を考えてる女性にもおすすめ!
ジルコニアは金属イオンのない高い生体親和性と、歯科用貴金属の金額の高騰という背景などから、新しい歯科材料として定着しました。
ジルコニアの基本的な材料
酸化ジルコニウム
酸化イットリウム
酸化アルミニウム
上記3点が主な歯科用ジルコニアディスクの主な材料です。
各メーカーとも、酸化ジルコニウムが約90%、イットリウム、アルミナがそれぞれ約5%添加されています。イットリウム以外にも、形状を安定させる為にカルシウム、マグネシウム、セリウムなどを添加しているメーカーもあるようです。
また、各メーカーで、ジルコニアの焼成の温度とスケジュールが違いますが、これは、各メーカーで添加物の配合が違う事が原因です。
ジルコニアの臨床的問題点
ジルコニアの弱点は、強度があまりにも高く、対合歯と歯根破折をまねくと聞くことがありますが、これは咬合関係をきちんと調整することで、経年的に問題なく使用していくことが出来ます。
また、対合歯を削る、という問題も、粒子の形状が丸いので、むしろポーセレンやガラスセラミックと比較しても、対合歯の摩耗を防ぐことができます。
ジルコニアの今後の可能性
ジルコニアは審美領域など、前歯の見える部分には適さないと言われていましたが、今ではジルコニア自体に色を入れるカラーリングリキッドの開発も進み以前よりかなりジルコニア特有の白さは改善され、フルジルコニアで天然歯に近い色調を再現することが出来るようになりました。
みなさんもインプラントを入れる時や、歯の治療をする時は、ジルコニアを検討してみるのはいかがでしょうか。